発達障害とは?

教育

どうしてなんだろう?

授業中、そわそわと落ち着きがなく、先生の話に集中できない子、人の話を聞かず、忘れ物が多い子、すぐにカッとなって友だちとトラブルを起こしてしまう子、こだわりが強く、言うことをきかない子、がんばって練習しているのに漢字が書けない子など、どこか不思議な子どもはどのクラスにも1人か2人はいるものです。
90年代、2000年代くらいなら、こうした子どもたちは『問題児』などと言われ、本人の努力不足や親のしつけの悪さ、あるいは家庭環境が原因と片付けられがちでした。
しかし、今では、彼らの『困った行動』や『学習のつまづき』は、当人の努力や親のしつけ、家庭環境などが影響して起こるものではなく、脳の一部の機能が年齢相応に発達していないことが原因であることが明らかになっています。
このように脳の機能が関与して出現する障害をまとめて『発達障害』と呼んでいます。

発達障害と定型発達の違いは?

発達障害とは、”発達のゆがみ” ”発達の凸凹(でこぼこ)” ”定型発達とは少しだけ・部分的に異なる発達”などとも言いますが、そもそも定型発達とは何でしょうか?
下の1~5の5つの能力がバランス良く伸び、乳児→幼児→児童→青年・・・と経ていくなかで定型発達の姿が作られていきます。

  1. 運動発達:姿勢を保ったり、移動したりする能力(乳児期)、意思のままに移動したり、運動したりする能力(幼児期以降)
  2. 認知発達:見る、聞く、学ぶ、覚える、考える、判断するなどの能力
  3. 情動発達:喜怒哀楽など自分の気持ちに気づいたり、伝えたりする能力
  4. 社会性の発達:社会的な結びつきを築き相互の関係を深めていく能力
  5. 言語発達:言葉で考えを伝えたり、相手の言葉を理解したりする能力



右の図は定型発達のモデルです。各発達のカテゴリーが上下左右整っているのが分かりますね。

 

 

 

2番目の図は発達の遅れの図です。上の図と比べると各発達のカテゴリーがゆっくり、ゆっくり伸びているのが見られますね。

 

      

 

 

 

3番目の図は発達の歪みの図です。各発達のカテゴリーごとに凸凹が見られますね。これらの凸凹により、いろいろな場面での本人の学びにくさや生活のしにくさにつながっていくことが考えられます。

 

 

 

以下の能力は通常、発達の5原則を基盤として自然と身に付いていく能力です。
①学習面
②体験の中でのソーシャルスキルの獲得
③基本的生活習慣の確立(流れやルール)
④基本的生活動作の確立(食事・排泄・着脱等)
⑤安心できる人間関係の体験

しかし、発達に凸凹があると「学習はよくできているし、しっかりしているように見えるけど、人とのコミュニケーションでトラブルになることが多い・・どうしてなの?」とか「友達と普通に過ごしているように見えるけど、流れやルールが全くわかっていない・・どうしてなの?」など学校生活や日常生活で課題になることがあります。
本来であれば、積みあがっていくはずの発達が凸凹により早かったり、遅かったり個人差が出てくるわけです。
これが発達障害の正体となります。

クラスに2~3人いる?

文部科学省が2012年に全国の公立小中学校を対象に行った実態調査では、通常学級の中に『知的な発達に遅れはないものの、学習面や行動面で著しい困難をもつ』と担任教師が判断した児童・生徒が全体の6.5%いるという調査結果が報告されました。
この『学習面や行動面で著しい困難をもつ』とは、具体的には『聞く、話す、読む、書く、計算することが苦手』(LD=限局性学習症)、『不注意や多動性、衝動性がある』(ADHD=注意欠如多動症)、『こだわりが強く対人関係が築きにくい』(ASD=自閉スペクトラム症)という特性を指しています。
前回の調査から10年後の2022年に行った同調査によると、発達障害の可能性があり、特別な支援が必要な小中学生は全体の8.8%いるという結果が出ました。
これにより10年前より2.3%の増加、学級の11人に1人程度在籍していると推定されることが文部科学省の調査で分かりました。
増加の背景には、発達障害に関する社会的な認知度が進み、今まで見過ごされてきた子どもも把握されるようになったことに加え、活字を読む機会や会話の減少など、生活習慣や環境の変化による影響も考えられると思います。

まず、気づくこと!

発達障害は外見からでは障害が分からないうえ、特性の表れ方には偏りが見られるため、障害と気づかれないケースが少なくありません。
周囲が気づかないばかりでなく、本人や親も気づいていない場合もあります。
学校でも家庭でも、まず、先生や親が子どもの『困っている状態』に気づいてあげることが大切です。
そのためには「どうしてなんだろう?」という素朴な疑問をもつことが大切です。
すべての支援は、そこから始まります。

あなたとわたしが見ている「世界」は同じではないかもしれない。

がんばればできるんです。でもそれは普段の180%くらいの力を出してなんとかやれる、ということ。

その力を常に出し続けることはできません。

前向きに生きている方には共通点があることに気がつきました。

それは、自分は何が苦手で何ができないかよく知っていること。

そして、その苦手なことに対して自分なりの対処法を持っていることです。

引用:『発達障害を生きる 世界の見え方が、違うとしたら?』

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